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炭疽菌芽胞により汚染した身体、器物および環境からの芽胞の飛散を最小限に抑える一方、以下に掲げるいずれかの消毒薬、または滅菌法を用いることが奨められる。どの方法を用いるかは、対象物の性質(生物材料、器物、建造物の一部、土壌、水など)や、処理後の用途(廃棄、再使用など)によって異なる(表1)。汚染物の取り扱いにはガウン等を着用する。汚染した可能性のある衣服(靴、ソックス、ストッキング、および袖や襟が汚染した場合には上着)はできるだけ早く脱衣して缶かバッグに入れ、消毒やオートクレーブ処理を行う。使い捨てガウンは焼却も可能である。
最終消毒終了後、室内あるいは動物舎のような閉鎖空間は十分に換気を行い、消毒剤が人体に悪影響を及ぼさないように注意してから再使用する。
なお、芽胞を効果的に消毒するのはきわめて困難であり、状況によってはこれを完全に実施するのは不可能な場合がある。また、消毒作業の効果を推定することはできないので、確認する場はスワブを採取して培養によって確かめる。
・10%フォルムアルデヒド(30%フォルマリン)…1〜1.5l/m2 、2時間、10 ℃以上
・4 %グルタルアルデヒド(pH 8.0 〜8.5)…1〜1.5l/m2 、2時間、10 ℃以上
・3%過酸化水素水…0.5 l /m2 、2時間
・1%過酢酸…0.5 l /m2 、2時間
・焼却
・オートクレーブ処理…121 ℃ 20 〜30 分
・エチレンオキサイドガス滅菌
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表1. 対象物ごとの炭疽菌汚染の除去方法
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| 検査室における消毒 |
病院用の殺芽胞剤、または0.5%次亜塩素酸溶液(家庭用漂白剤の10倍希釈液、有効塩素濃度100,000 ppm)を用いて、消毒を行う。ベンチコートなどの実験台カバーを用いる。 |
| 人体の汚染 |
皮膚の汚染部位は次亜塩素酸溶液(有効塩素濃度5,000ppm)に1 分間浸したあと、石鹸を使って十分に水洗いする。皮膚に損傷がある場合には次亜塩素酸溶液は用いず、血液を絞り出してから傷口を十分量の水を用いて洗浄する。目に飛散した場合には、目をこすらず、直ちに大量の水で十分に洗い出す。口腔内の汚染では直ちに口の中のものを吐き出し、次亜塩素酸溶液(有効塩素濃度2,000ppm)で口腔内を十分にすすぎ、次いで何回か水で口腔内をすすぐ。人体の汚染が考えられた場合には直ちに医師による診察を受け、最低1週間は観察下に置く。 |
| 建物などの汚染 |
床などの上に滴下したり飛散したものには直接、または汚染区域を吸湿性物質で覆ってから、次亜塩素酸溶液(有効塩素濃度10,000ppm)、10%フォルマリン、4%グルタルアルデヒド、または1%過酢酸を十分にふりかける。2時間以上経過してからタオルペーパーでふき取り、ペーパータオルは袋に入れて焼却する。 |
| 衣服、道具、器物などの汚染 |
可能な場合には汚染した器物は焼却、またはオートクレーブ滅菌を行う。使い捨てにしない器物の場合には、付着している大きなゴミは焼却用袋、またはオートクレーブ用袋にそそぎ落としたあと、器物それ自身は4%フォルムアルデヒド溶液、または2%グルタルアルデヒド溶液に一晩(8時間以上)浸漬する。
フォルムアルデヒドに代えてエチレンオキサイドガスによる滅菌も可能である。エチレンオキサイドガスの使用は、整った設備とその運転経験のある施設に限って行うべきである。
器具、機器類でオートクレーブ滅菌、煮沸滅菌、またはフォルマリンなどの溶液に浸漬できないものには、薫蒸滅菌を考慮する。適切な構造と気密性を保ったチャンバーに汚染物とフォルマリン(水で2〜3倍に希釈)を入れ(約15ml/m)煮沸蒸発させたあと、常温(≧18 ℃)で12時間以上放置する。薫蒸処理中のチャンバー内の相対湿度は90%以上とする。薫蒸処置が終了したときの換気装置は、人や動物が移動する場所から離れた位置に備える。 |
| 水の汚染 |
汚染水の滅菌・消毒にはオートクレーブ滅菌、フォルムアルデヒドによる滅菌、塩素剤による滅菌、濾過滅菌などが考えられるが、水の溜まり場所、芽胞の推定濃度、処理する水の量、その水が流れて行く先、および処理後の水の使用目的などの状況を判断して、最もよい解決方法を適用する。 |
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