サルモネラのみならず細菌性胃腸炎では、発熱と下痢による脱水の補正と腹痛など胃腸炎症状の緩和を中心に、対症療法を行うのが原則である。強力な止瀉薬は除菌を遅らせたり麻痺性イレウスを引き起こす危険があるので、使用しない。解熱剤はニューキノロン薬と併用禁忌のものがある上、脱水を悪化させる可能性があるので、できるだけ使用を避ける。抗菌薬は軽症例では使用しないのが原則であるが、重症例で使用が必要な場合には、つぎのことに考慮が必要である。
サルモネラは試験管内では多くの抗菌薬に感受性であるが、臨床的に有効性が認められているものは、アンピシリン(ABPC)、ホスホマイシン(FOM )、およびニューキノロン薬に限られる。
わが国の非チフス性サルモネラの薬剤耐性率はABPC に20〜30%、FOM に対し10%未満であり、ニューキノロン薬耐性はほとんどみられない。
上記のようにサルモネラ症では、症状が改善されても排菌が続くことがある。抗菌薬の投与によって腸内細菌叢が撹乱され、除菌が遅れるうえ、耐性菌の誘発、サルモネラに対する易感染性を高めるなどの理由で、単純な胃腸炎には投与すべきではないとの意見が欧米では一般的であるが、わが国では、ニューキノロン薬の7日間投与は腸内細菌叢に対する影響もなく、除菌率も高いという成績に基づき、使用されている。
処 方:
ニューキノロン薬(下記のいずれか1 剤)
ノルフロキサシン、シプロフロキサシン300 〜400mg,分3 ,7 日間
トスフロキサシン450mg ,分3 ,7 日間
レボフロキサシン300mg ,分3 ,7 日間
ホスホマイシン2.0g ,分3 〜4 ,7 日間
アンピシリン1.5 〜2.0g ,分3 〜4 ,7 日間
サルモネラの予防は原因食品、特に食肉および鶏卵の低温保存管理、また、それらの調理時および調理後の汚染防止が基本である。低年齢層では、ペットおよび衛生昆虫からの接触感染も無視することはできない。
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